工事のお知らせを読んでいて、「網戸は外しておいてください」の一文で手が止まった。そんな方に向けた記事です。
外した網戸はどこに置けばいいのか。傷がついたら誰が直すのか。そもそも網戸は自分の物なのか。先に答えを。網戸はひな形の規約では共用部分の扱い、外すかどうかは工事内容と説明会の案内で決まり、新品になるのはサッシと一緒の築34~38年ごろです。
この記事では網戸の一生を「工事中に外す」「日々の手入れ」「取り替える」の順にたどりながら、国の資料で確かめられることと、説明会で聞いておきたいことを分けて書きます。
ひな形では網戸も窓と同じ共用部分の扱い
まず持ち主の話から。国土交通省のマンション標準管理規約(管理規約のひな形)では、窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれない、と第7条に書かれています。そしてコメントには、雨戸や網戸があるマンションではこの条文に網戸を追加する、とあります(国土交通省「令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)及びコメント」第7条関係コメント④)。実際の扱いはお住まいのマンションの規約が決めます。
窓枠や窓ガラスは、専有部分に含まれないので共用部分として扱う、というのが規約コメントの整理です(同コメント 第22条関係①)。網戸は同じ号に並べて書くことになるので、ひな形どおりなら網戸も同じ扱い、つまり使うのはその部屋の人だけでも、持ち物としてはみんなの物です。ひな形なので、実際の扱いはお住まいのマンションの規約で確かめてください。
国のマンション改修マニュアルも、サッシ付きの網戸は日常は各住戸での個別管理となるが、サッシ取替え時にはサッシと一体で取り替えることになる、と書いています(国土交通省「マンション改修マニュアル」令和8年3月改訂 p.74)。日々は各住戸、替えるときはみんなで。この二重の性格が、網戸の話を分かりにくくしている正体です。
お知らせで網戸を外すよう言われる理由と確認したい4つのこと
網戸が付いているのは、ちょうど大規模修繕工事の作業が行われる場所です。改修マニュアルが挙げる共用部分の主な修繕工事には、サッシまわりのシーリング材の打替え、外壁や手すり壁・上げ裏(天井面)の再塗装が入っています。再塗装の前には高圧水洗などで既存の塗膜を処理します(同マニュアル p.31、p.52)。
弊社の記事「直接仮設工事とは???」でも、足場を組んだ時期に次の作業に備えて窓の面格子を外す、と書いています。工事内容によっては外さないこともありますが、外すことの方が多い。外した面格子は足場上や廊下に置くことも多いので、気になる方は保管場所をあらかじめ協議しておくといい、というのが弊社の面格子の経験です。
網戸を外す必要があるかどうか、誰が外すのかは、工事の内容とマンションごとの決め方で変わります。マニュアルでは、工事中の窓の開閉制限やバルコニーの使用制限といった日常生活への支障は、工事内容を決める設計の段階で検討する事項です(同 p.23)。そして着工前の工事説明会で、しおりなどを配って注意・お願い事項を説明し(同 p.29)、工事中は掲示板やチラシで洗濯物干しの可否やバルコニーの使用制限を案内する(同 p.35)、という流れになっています。
説明会で網戸について聞いておきたいのは、次の4つです。
①外す必要があるか、あるならいつまでに外すのか
②誰が外して、誰が付け直すのか。在宅が必要な日はあるか
③外した網戸はどこに置くのか。室内で保管するのか、施工会社が預かるのか
④工事中に傷や破れを見つけたとき、誰にどう伝えるのか
お知らせに「外してください」とだけ書かれていて分からないときは、説明会やしおりで案内された施工会社の窓口か、管理組合・管理会社に聞いて大丈夫です。マニュアルも、改修工事は居住者の協力なくしては進められない、と書いています(同 p.29)。
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面格子は塗り替えの対象で網戸は取替えまで同じものを使う
ここで面格子と網戸の違いを1つ。改修マニュアルでは、面格子は鉄部塗装工事の主要部位に入っていて、周期は通常5~7年程度です(同 p.62)。アルミやステンレスの面格子は清掃のメンテナンスの部位です(同 p.65)。鉄製なら塗り替え、アルミ製なら清掃をしてから戻る、ということですね。
一方、網戸は鉄部塗装の部位には載っていません。網戸の取替えはサッシと一体、とマニュアルは書いていますから、1回目や2回目の大規模修繕工事では、外すことになっても塗り替えや取替えの対象ではなく、同じ網戸が戻ってくる、というのがマニュアルから読める範囲です。
なお弊社の記事では、面格子を外すのでセキュリティ対策が必要になる、とも書いています。網戸と面格子が両方外れた窓は、ふだんより開けやすい窓です。足場がある間の防犯は、別の記事にまとめています。
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破れた網戸は誰が直す?
工事が終わり、日々の暮らしに戻ったあとの話です。標準管理規約の第21条は、共用部分の管理は管理組合がその責任と負担で行う、としたうえで、バルコニー等の保存行為のうち通常の使用に伴うものは、専用使用権を持つ人がその責任と負担で行う、と定めています。コメントが挙げる例は、バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入替えです(同規約 第21条関係コメント④)。
網戸そのものは例に挙がっていません。ただ、改修マニュアルは「日常は各住戸での個別管理」と書いていますから、日々の手入れや小さな修理は各住戸で、という考え方がひな形とマニュアルの両方から読めます。バルコニー等の経年劣化への対応は管理組合が計画修繕として行う(同コメント③⑤)ので、古くなった網戸をみんなで替える日は別にある、ということです。実際の負担の線引きは、規約と管理組合の判断で決まります。
網戸が新しくなるのはサッシと一緒の34~38年
その「みんなで替える日」はいつか。国の長期修繕計画作成ガイドラインの修繕周期の例では、窓サッシ・面格子・網戸・シャッターは点検・調整が12~15年、取替が34~38年です(国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」令和6年6月改定 標準様式第3-2号(記載例))。
改修マニュアルも、サッシは34~38年程度、3回目の大規模修繕工事前後に取り替える、としています。1回目の大規模修繕ではアルミ面の汚れ落としや磨き、2回目は損耗した付属金物の取替え、サッシ全体の取替えは3回目以降、というケースも見られる、というのがマニュアルの説明です(同マニュアル p.70~71)。共用廊下側の窓面格子や網戸、防犯雨戸などもサッシ取替え時に一緒に取り替えることが望まれる、とも書かれています(同 p.74)。
つまり網戸の一生は、こうなります。
・1回目・2回目の大規模修繕工事: 塗り替え・取替えの対象ではない(外す場合も同じものが戻る)
・日々: 各住戸で手入れ
・3回目前後(築34~38年ごろ): サッシと一体で新品に
いま手元にある網戸は、サッシが替わるまで使い続ける部材なんですね。だからこそ、工事中に傷をつけないための置き場所と、傷がついたときの連絡先を先に決めておくと安心です。
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お住まいの網戸は、サッシと同じ年に付いたものですか? それとも、どこかの年に張り替えたものですか? 工事の案内が届いたら、網戸を外す前に一度、ご自宅の窓を眺めてみてください。弊社では足場を解体する前に居住者の皆様へアンケートをお配りして、気になる箇所を手直ししています。網戸や窓まわりで気になったことも、そのときに遠慮なく書いてください(^^)
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