築28年。

国土交通省の調査で、2回目の大規模修繕工事が行われたときの築年数の真ん中の値(中央値)です。1回目は築15年でした。時期だけでなく、工事の中身も1回目とは変わってきます。

先に結論です。2回目の大規模修繕工事は、1回目と同じ「外壁と防水の工事」に見えて、中身が変わります。違いは①時期 ②建物の工事の深さ ③設備の工事 ④「改良」の考え方の4つです。1回目の工事記録と長期修繕計画を手元に置いて読んでみてください。

違い① 時期は築24~30年目あたり

国のガイドラインの図では、1回目の大規模修繕は12~15年目程度、2回目は24~30年目程度、3回目は36~45年目程度とされています(国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」 51ページ)。

実際の工事の時期も、この目安と重なります。令和3年度の国の実態調査では、2回目の工事は築26~30年で行われた割合が最も高く、築年数の中央値は28年でした(国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」 9ページ)。この調査は、大規模修繕工事の設計や施工を受注した企業へのアンケートで、完了した工事818件を集計したものです(同 3ページ)。

同じ調査では、工事の回数ごとの平均修繕周期が、1回目15.6年、2回目14.0年、3回目12.9年でした。回数が増えるほど周期が短くなる傾向がみられる、とまとめられています(同 11ページ)。

違い② 建物の工事は「塗り替え」から一歩深く

ガイドラインの修繕周期の例を見ると、2回目あたりで工事の中身が変わる項目があります(同ガイドライン 84ページ)。

  • 屋上防水: 補修・修繕は12~15年、撤去・新設は24~30年
  • 外壁塗装: 塗替は12~15年、除去・塗装は24~30年

12~15年ごとの補修や塗替に対して、撤去・新設や除去・塗装は24~30年、という並びです。ただし、これはあくまで「例」です。既存のマンションでは、劣化の状況を調査・診断した結果で周期を決めるとされています(同 83ページ)。

屋上の防水については、国のマンション改修マニュアルに、2回目以降ならではの注意も書かれています。1回目ですでに屋上をウレタン塗膜防水やシート防水で改修している場合は、改修したものをさらにどう直すかを考える必要がある、というものです(国土交通省「マンション改修マニュアル」 39~40ページ)。前回屋上をどの防水で直したのかが、今回の工法選びの出発点になります。

外壁や防水のほかにも、同じマニュアルで「2回目以降」と書かれている工事があります。

  • 手すりと金物類の改修: 材質や傷み方で大きく異なるものの、2回目以降の大規模修繕での実施が多いと考えられる(同 75・77ページ)
  • 屋外鉄骨階段: 24~30年目頃の2回目の大規模修繕時以降、随時改修するのが一般的とされる(同 79ページ)
  • エントランスの改修: 2回目以降の大規模修繕工事の際に同時に行われるのが一般的とされる(同 83ページ)
  • サッシ: 1回目は汚れ落としや磨き、2回目は傷んだ付属金物の取替え、サッシ全体の取替えは3回目以降、というケースも見られる(同 70~71ページ)

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違い③ 設備の更生や取替えの時期が近づく

2回目のころには、設備の周期も近づいてきます。ガイドラインの修繕周期の例では、次のようになっています(同ガイドライン 84ページ)。

  • 給水管・排水管: 更生 19~23年、取替30~40年(更生は、改修マニュアルの給水管の章の説明では、管の内側の錆こぶなどを取り除いて樹脂塗装をし、管の寿命を延ばす工法。同マニュアル 92ページ)
  • エレベーター(昇降機): 取替26~30年
  • 集合郵便受などの金物類: 取替24~28年

実態調査でも、工事の回数が多くなると、総工事金額に占める建築系工事と設備系工事の割合が高くなり、仮設工事の割合が低くなる傾向がありました。建築系工事の中では、回数によらず外壁塗装の割合が最も高く、次いで床防水でした(同調査 12ページ)。

足場を組む大規模修繕工事に、ほかの工事をまとめるかどうかも、2回目の検討どころです。ガイドラインは、工事をまとめると直接仮設や共通仮設の費用を減らせる一方、まとめすぎると修繕積立金が一時的に足りなくなることもある、と注意しています(同ガイドライン 83ページ)。

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違い④ 直すだけでなく良くする「改良」を考える

ガイドラインの図には、こんな一文が添えられています。

「回数を重ねるごとに、改良の割合を大きくした改修工事とすることが重要」(同ガイドライン 51ページ)

ここでいう「修繕」は新築のときの状態に戻すこと、「改修」は修繕に改良を加えて、いま望まれる水準まで引き上げることです。ガイドラインは、既存のマンションでは生活様式や社会環境の変化から、耐震性や断熱性などを新築時より高める改良も必要になる、と書いています(同 51ページ)。

2回目は、元に戻すだけでよいかを考え直す回、と言ってもいいかもしれません。

国の調査で見る2回目の戸あたり工事金額

「2回目はもっと高くなるのでは」と思われるかもしれません。国の実態調査で戸あたりの工事金額を見ると、中央値は次のとおりでした(同調査 14ページ)。

  • 1回目: 110.2万円
  • 2回目: 106.1万円(真ん中の半分は87.8万~129.8万円)
  • 3回目以上: 97.0万円

2回目で最も多かった価格帯は「75~100万円/戸」と「100~125万円/戸」です。この金額には共通仮設費が入っていないこと、マンションの規模や劣化の状況で金額は変わることも、報告書に書かれています(同 14ページ)。

この調査に限っていえば、2回目の中央値は1回目をわずかに下回りました。とはいえ、これは全体の真ん中の値です。自分のマンションの見積は、どの工事が入っているかの中身で見てください。

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まず長期修繕計画の2回目の欄を開いてください

ガイドラインでは、長期修繕計画の期間を「30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」としています(同ガイドライン 80ページ)。ガイドラインに沿った計画なら、2回目の工事はもともと計画に入っている、ということです。

ただし、新築時に30年の計画を作っていても、サッシの取替えや給排水管の取替えは周期が計画期間を超え、計画に入っていないことがあるので、見直しのときに注意が必要とされています(同 80ページ)。

2回目に向けた最初の一歩は、長期修繕計画の24~30年目あたりの欄を開いて、どの工事がいくらで載っているかを確かめることです。あわせて、1回目の工事で屋上をどの防水で直したかの記録も探しておいてください。違い②で書いたとおり、今回の工法を考える出発点になります(^^)

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