大規模修繕工事を安全に終えるためには、「トラブルが起こらないようにする」だけでなく、「トラブルを想定して先回りする」ことを、意識することが大切です。
最も起きやすいトラブルは、マンションの居住者とのトラブルです。
居住者とのトラブルの多くは、コミュニケーション不足によって発生します。工事の工期や目的を説明会だけでなく、工事前・工事中にしっかりと伝え、工事後は居住者の協力に感謝をしたりと、徹底したコミュニケーションを取ることで回避することが可能です。
また、管理会社と施工会社の中で、あらかじめ居住者からのクレームを汲み取る仕組みを構築し、情報を共有することで、早めに居住者の不満や不安を取り除くことが可能です。
施工会社とのトラブルは、主に費用、工事品質、スケジュールの変更などで起こります。
施工会社とのトラブルの多くは、事前の情報収集不足が原因で起こりやすくなります。工事の見積もりや工事内容の説明などは複数の会社から説明を受け、契約内容については、専門の弁護士などに精査してもらい契約を交わすようにしましょう。
施工品質の低下を防ぐには、第三者の施工監理者などを設置し、中立的な立場で施工品質をチェックする「設計監理方式」をおすすめします。また工事後の不良に備え、瑕疵保険に事業者登録している会社に依頼することが望ましいです。
大規模修繕工事のような長期間の工事の場合は、騒音などで周辺住民とのトラブルが発生することがあります。
マンション外部とのトラブルを防ぐためにも、工事前に周辺住民の方へ報告を行い、騒音や臭いが発生する期間を詳細に伝えておく必要があります。
また周辺住民の方のクレームをすぐに受け取り対策できるように、窓口や連絡先を周辺住民の方に伝えておきましょう。このような情報を施工会社と共有する仕組みづくりも大切になります。
マンションの周りに足場が設置される期間は、高層階であっても空き巣が侵入する可能性があります。施工会社の防犯対策や住居者への防犯に対する説明を十分に行いましょう。