環境省の調査によると、令和5年度に全国の自治体へ寄せられた騒音の苦情19,890件のうち、いちばん多かったのは建設作業の7,466件。全体の37.5%を占めています(環境省「令和5年度騒音規制法等施行状況調査の結果について」)。
先に結論をお伝えします。大規模修繕工事の音は、朝から晩まで、3~4ヶ月ずっと鳴りっぱなしではありません。音が大きい作業は工期の一部に集中していますし、うるさい機械を使う作業には法律で作業できる時間や日数の上限が決まっています。
工事の音は、それだけ多くの人が気にしているということですね。
とはいえ「決まっている」だけでは安心できないと思いますので、どの作業がうるさいのか、何時から何時までなのか、そして始まる前に何をしておけばラクになるのかを、順番に見ていきます。
うるさいのはどの作業? 音が出る工事・出ない工事
大規模修繕工事のなかで音が目立つのは、主に足場まわりとコンクリートを削る作業です。
足場の組立てと解体は、鋼製の材料を人の手で組み上げていく作業なので、金属どうしがぶつかる音がします。弊社の過去記事でもお伝えしたとおり、足場の組立てや“壁つなぎ”の設置中は騒音や振動・埃が発生します。
もうひとつが躯体補修工事。コンクリートのひび割れや浮いた部分を削り取る、いわゆる“斫り(はつり)”の作業です。ここではハンドブレーカーや電動ピックといった機械を使うことがあり、福岡市の資料ではどちらも騒音の規制対象となる機械に挙げられています(福岡市「特定建設作業のしおり」)。
高圧洗浄も、水が壁に当たる音がかなりします。以前ご紹介した居住者S様も、家の中からサッシ越しに「もの凄い水の音」がしていた、と話されていました。
逆に、塗装工事や防水工事では音よりも“臭い”の方が気になった、というのが同じS様のお話です。あまり音がしない作業では「カーテンを閉めていると、いつバルコニーで作業していたのかもわからないほど」だったそうです。
つまり、工期のあいだずっと同じようにうるさいわけではなく、音のヤマ場は限られているということですね。
▼ 関連記事
直接仮設工事とは???
ペットに対するトラブルを防ぐための方法とは?その③
朝早くや夜・日曜日も工事をしていいの?
結論から言うと、福岡市内のマンションが建つような地域(騒音の1号区域)では、大きな音の出る機械を使う作業を、朝7時前・夜7時以降と日曜・祝日に行うことはできません。(災害など緊急の場合には例外があります)
これは 騒音規制法 という法律で決まっています。ブレーカーやさく岩機など、決められた機械を使う建設作業は「特定建設作業」と呼ばれ、指定地域内では次のルールが適用されます(環境省「特定建設作業に伴つて発生する騒音の規制に関する基準」)。
・敷地の境界線で 85デシベル を超えないこと
・作業できるのは 1号区域で午前7時~午後7時(2号区域は午前6時~午後10時)
・1日10時間 まで(2号区域は14時間)
・同じ場所で 連続6日 まで
・日曜日・その他の休日は作業禁止
「1号区域って、うちはどっち?」と思われますよね。福岡市の場合、騒音の1号区域は第1種~第3種区域の全域と、第4種区域のうち学校などの周囲80m以内。住宅が建っている地域はほぼ1号区域に入りますので、福岡市内のマンションなら「午前7時~午後7時、1日10時間まで、日曜・祝日は休み」と考えてまず間違いありません(福岡市「特定建設作業のしおり」)。
揺れについては 振動規制法 という別の法律があり、福岡市の1号区域では敷地境界で75デシベル以下、作業は午前7時~午後7時までと定められています(出典は同じ「特定建設作業のしおり」)。
気をつけたいのは「対象になる作業だけ」という点
ここでひとつ、大事な注意があります。この時間ルールがかかるのは、しおりの表で対象になっている機械を使う作業、つまり斫りなどの特定建設作業です。足場の組立て・解体や高圧洗浄はこの表に入っていないので、騒音規制法・振動規制法の上での時間制限はかかりません。
実際の作業時間は工事ごとに決められ、お知らせチラシや工事掲示板でご案内します。「何時から何時まで作業しますか」は、遠慮なく確認していただいて構いません。
「7日前までに届出」というルールもあります
さらに、特定建設作業を行うときは元請業者が、作業を始める7日前までに市区町村へ届け出る義務があります。福岡市では、工事を行う場所の区役所生活環境課が窓口です(福岡市「特定建設作業の届出について」)。
つまり、ちゃんとした工事であれば、うるさい作業がいつ行われるかは事前に行政に届け出られているということ。管理組合として「届出は出していますか」と確認できる項目でもあります。
※ ちなみに、その機械を使う作業が始めた日のうちに終わる場合は特定建設作業から除かれます。ごく短時間の作業まで届出が必要というわけではないんですね。
騒音はいつまで続く? 工期のどこがヤマ場か
弊社の過去記事でもお伝えしたとおり、大規模改修工事は平均3~4ヶ月ほどかかります(建物の大きさや工事内容によって変わります)。ただ、この間ずっと音が続くわけではありません。
音のヤマ場は、ざっくり工事の入口と出口、そして躯体補修の時期です。
・入口…足場の組立て。金属音と、資材を運ぶ車両の出入り
・中盤…調査・マーキングと躯体補修(斫り)。ここがいちばん響きます
・後半…洗浄→塗装→防水。音より臭いや窓が開けられないことの方が気になる時期
・出口…足場の解体。組立てと同じく金属音
以前ご紹介した居住者S様のケースでは、工期は9月2日から12月27日までの4ヶ月間で、41日目には洗浄工事に入っていました。愛犬の柴犬・大ちゃんは騒音に対しては2~3日ほど吠えたそうですが、ゲージなどの対策もあわせて、慣れるまでには1週間ほどだったとのことです。
そして先ほどの連続6日以内のルールもあるので、同じ場所で延々と斫り続ける、ということにはなりません。
「いつまで?」への答えをまとめると、工期は3~4ヶ月、大きな音がするのは足場の組立て・解体と躯体補修の時期。そのうち斫りなどの特定建設作業は、福岡市内なら午前7時~午後7時・1日10時間まで・日曜祝日は休みと法律で決まっています。
▼ 関連記事
ペットに対するトラブルを防ぐための方法とは?その③
大規模修繕工事の流れ
工事が始まる前にやっておきたい3つの備え
我慢するしかない…と思われるかもしれませんが、事前にできることが3つ。
① 工事のお知らせチラシと掲示板で「工程」を確認する
工事が始まる前には、居住者の皆様に工事内容と注意点を書いたお知らせチラシが配られます。工事掲示板にも予定が貼り出されるはずです。
まずはここで、斫りや足場作業がいつなのかに印を付けておく。在宅ワークの会議、赤ちゃんのお昼寝、受験勉強、夜勤明けの睡眠…ずらせる予定は先にずらしておくと、精神的にずいぶんラクになります。
② 気になることは早めに担当者へ伝えておく
ペットの記事でご紹介したS様は、犬を飼っていることを事前に工事担当者へ伝えていました。おかげで「換気扇をつけない方がよい時間帯」を先に教えてもらえて、大きな問題なく過ごせたそうです。
音についても同じで、「日中に赤ちゃんが寝ている」「在宅で仕事をしている」といった事情は、後から言うより始まる前に伝えておく方が段取りに反映しやすくなります。管理組合様経由でも、工事担当者へ直接でも構いません。
③ 相談窓口を知っておく
万が一、時間帯や日曜のルールが守られていないと感じたときは、お住まいの市町村の公害に関する相談窓口に相談できます。環境省もパンフレットで同じ案内をしています(環境省「騒音規制法 住みよい音環境を目指して」)。福岡市であれば、建築工事に伴う騒音・振動の相談先は各区役所の生活環境課です(福岡市の相談窓口一覧)。
市町村長や特別区長には、規制基準に適合しないことで周辺の生活環境が著しく損なわれると認められる場合に改善勧告や改善命令を行う権限があります(環境省パンフレット、福岡市「特定建設作業のしおり」)。「言っても無駄」ではない、ということは知っておいてよいと思います(^^)
まずはお知らせチラシの工程表を見返してみてください
大規模修繕工事の音は、避けられません。でも、いつ・どれくらい・何時までが分かっているだけで、感じ方はずいぶん変わります。
今日やることを1つだけ挙げるなら、配布されたお知らせチラシか工事掲示板の工程表を引っ張り出して、足場の組立て・解体と躯体補修の日程に印を付けること。それだけで、次の3ヶ月の見通しが立ちます。
最後まで読んで頂き誠にありがとうございました(^^)
▼ 工事中の音や生活への影響が心配な方へ。ご相談・お見積りは無料です
福岡で大規模修繕工事をご検討中の管理組合様・オーナー様は、株式会社アストまでお気軽にご相談ください。
お問い合わせフォームはコチラ
お電話でのご相談: 092-812-6411(平日 8:00~17:00)
▼ 関連記事
直接仮設工事とは???
ペットに対するトラブルを防ぐための方法とは?
ペットに対するトラブルを防ぐための方法とは?その②
ペットに対するトラブルを防ぐための方法とは?その③
トラブルと対策
大規模修繕工事の流れ
大規模修繕工事の流れを7ステップで解説|準備から竣工まで3~5年
大規模修繕工事でベランダはどうなる?工事の中身と片付けのお願い