「特に鉄部塗装の時に若干のシンナー臭を感じました。」
以前このブログでご紹介した、柴犬の大ちゃんと暮らす居住者S様の言葉です。工事の様子を順番に話してくださったなかで、臭いに触れたのはいくつかの工程でした。
先に結論です。大規模修繕工事の臭いの元は、塗料や防水の接着剤などの材料です。S様の場合、臭いの話が出てきたのはマーキング・塗装・防水の3つの工程でした。マーキングのスプレー塗料は、乾いてしまえば気にならない程度でした。工程表で時期を確かめ、窓と換気扇の使い方を担当者に聞いておけば、あわてずに過ごせます。
臭いの元は塗料と接着剤
このブログでは以前、塗装工事と防水工事の注意点として「塗料による臭気が発生します」「接着剤による臭気が発生します」とご紹介しました。
ただ、大規模修繕工事の塗料がみんな同じわけではありません。
国土交通省のマンション改修マニュアルによると、外壁の仕上げに塗る上塗材は水性系と溶剤系に分かれ、臭いの問題や工事中の扱いの問題から、近年は水性系が主流です(国土交通省「マンション改修マニュアル」 51ページ)。
一方、手すりや扉の枠などの鉄部塗装では、仕上げ(中塗り・上塗り)の塗料として、近年は弱溶剤型のポリウレタン樹脂塗料やアクリルシリコーン樹脂塗料が一般に使われていると書かれています(同 63ページ)。S様が「特に鉄部塗装の時に」と話していたのと重なりますね。
余談ですが、塗料から空気中に出ていく成分には、VOC(揮発性有機化合物)と呼ばれるものがあります。環境省によると、揮発性があって大気中で気体になる有機化合物の総称で、トルエンやキシレンなどが含まれます(環境省「揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制」)。
環境省は2021年の発表で、VOCの発生源のうち塗料からの揮発が一番大きく、全体の約4割を占めると紹介しています(環境省 報道発表 2021年2月19日)。全国のVOC排出量全体に占める割合で、マンションの工事だけの数字ではありません。
4ヶ月の工事で臭いが気になる時期
S様のマンションの工期は9月2日~12月27日の4ヶ月間でした。工事の順番に沿って、臭いが気になった場面を追ってみます。順番や日数はマンションごとに違うので、1つの例として読んでください。
工事10日目~40日目 調査・マーキングの時期
建物の傷んだところを調べて目印を付ける工程です。塗装の壁にはスプレータイプの塗料で印を付けていたので、スプレー塗料が乾くまでは若干のシンナー臭がしたそうです。乾いてしまえば臭いは気にならなかったと聞いています。
工事41日目から 洗浄のあとの塗装の時期
壁や天井を洗い流す洗浄工事の翌日から、塗装工事が始まりました。塗装には外壁の塗装と、メーターボックスや玄関扉の枠などの鉄部塗装があり、冒頭の「シンナー臭」はこの鉄部塗装のときのものです。
改修マニュアルでは、鉄部塗装の部位として手すり・面格子・扉・枠・バルコニー隔板などが挙げられ、大規模修繕工事のときに各部位をまとめて塗るのが一般的とされています(同 62ページ)。バルコニー側だけでなく、玄関まわりでも臭うことがあると思っておくとよさそうです。
塗装に続く防水の時期
最後はバルコニーや廊下の床の防水工事です。床防水は12~15年周期で、足場が要る場合は通常、外壁の修繕と同じ時期に行うとされています(同 45ページ)。
床の改修でいちばん一般的なのはウレタン塗膜防水で、環境に配慮した水性系の材料もあります(同 45ページ)。廊下に長尺塩ビシートを貼る工法では、耐水性の接着剤を使います(同 46ページ)。
S様のマンションでも、防水工事の前に工事掲示板やお知らせのチラシで「臭気が発生します」と知らされていました。以前の記事では、床の防水塗料が固まるまではバルコニーへの出入りや窓の開閉、エアコンの使用を一時制限することもご紹介しています。
▼ 関連記事
ペットに対するトラブルを防ぐための方法とは?その②
ペットに対するトラブルを防ぐための方法とは?その③
大規模修繕工事の外壁塗装|3つの思い込みと塗料の選び方
大規模修繕工事の防水工事|屋上と床で違う工法と全面改修の要否
工事中の部屋での過ごし方
工程表で自分の住戸の近くの日を確かめる
工事が始まる前には、工事内容や工程、作業時間、お願い事項をまとめた資料が配られ、説明会が開かれます(同 29ページ)。工事中も掲示板やチラシで、進み具合やバルコニーの使用制限、洗濯物を干せるかどうかが案内されます(同 35~36ページ)。
「塗装」「防水」「臭気が発生します」の文字を見つけたら、その時期は臭い対策の準備をしておきましょう。
窓を閉めて換気扇の使い方を聞いておく
S様は、外の臭いが入らないよう窓をしっかり閉め、換気扇もつけないようにしていました。工事の臭いにいちばん効いたのは、換気扇をつけないことだったそうです。
とはいえ、料理やお風呂で換気扇を回したい場面もありますよね。S様は工事の担当者から「換気扇をつけない方が良い時間帯」を事前に教えてもらい、特に問題なく過ごせました。
ペットや体調のことは先に伝えておく
S様は、犬を飼っていることを前もって担当者に伝えていて、そのうえで時間帯を教えてもらっていました。小さなお子さんがいる、臭いで体調を崩しやすいなど気になることがあれば、塗装や防水が始まる前に現場事務所へ伝えておきましょう。S様のように、気をつけたい時間帯を前もって教えてもらえることがあります(^^)
臭いは工程を知れば備えられる
工事の臭いの元は塗料や接着剤などの材料で、S様の場合、臭いの話が出てきたのはマーキング・塗装・防水の3つの工程でした。外壁の上塗材は臭いの問題もあって水性系が主流ですが、S様は鉄部塗装のときにシンナー臭を感じていました。
お知らせの工程表で時期をつかみ、窓と換気扇の使い方を担当者に確かめておけば、工事期間を落ち着いて過ごせます。
▼ 外壁塗装工事・防水工事のご相談・お見積りは無料です
福岡で大規模修繕工事をご検討中の管理組合様・オーナー様は、株式会社アストまでお気軽にご相談ください。
お問い合わせフォームはコチラ
お電話でのご相談: 092-812-6411(平日 8:00〜17:00)
▼ 関連記事
大規模修繕工事の騒音はいつまで?法律の時間ルールと3つの備え
大規模修繕工事でベランダはどうなる?工事の中身と片付けのお願い
ペットに対するトラブルを防ぐための方法とは?
大規模修繕工事の流れを7ステップで解説|準備から竣工まで3~5年
トラブルと対策