ベランダは、誰のものでしょう?

毎日洗濯物を干して、植木鉢を並べて、室外機も置いてある。自分の部屋の一部のように使っているベランダですが、国の標準管理規約では共用部分です。だから大規模修繕工事では、ベランダも工事の対象になり、片付けをお願いすることになります。

この記事では、ベランダで実際に行われる工事と、居住者の皆様にお願いすることを、根拠と一緒に説明します。

ベランダは共用部分で「専用使用権」があるだけ

国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)では、バルコニーは専有部分に属さない「建物の部分」として共用部分に入っています(別表第2)。そのうえで第14条が、区分所有者にバルコニーや玄関扉、窓枠、窓ガラスの専用使用権を認めています。

専用使用権は、専有部分と一体として扱うのが妥当だから設けられている権利です。ただし規約のコメントには、管理のために必要な範囲で他の者の立入りを受けることがある、という制限も書かれています。工事のために作業員がベランダに入るのは、この範囲の話です。標準管理規約はあくまで国のひな形なので、お住まいのマンションの規約も一度確かめてみてください。

ちなみに第14条3項により、賃貸で住んでいる方もそのベランダを使えます。専用使用権のある部屋に住む人にとっては、持ち家でも賃貸でも同じお願いをすることになります。

ベランダの経年劣化は管理組合が直す

共用部分の管理は、管理組合がその責任と負担で行います(標準管理規約第21条)。ベランダについては、掃除や割れた窓ガラスの入替えのような「通常の使用に伴う」ことは専用使用権を持つ区分所有者が行い、経年劣化への対応は管理組合が計画修繕として行う、という切り分けです。

つまり、ベランダの床や壁が古くなったから直す、という工事は管理組合の仕事で、それを実行するのが大規模修繕工事です。自分の部屋のベランダに他人が入ってくるのは違和感があると思いますが、直してもらう側でもあるわけです。

ベランダで行われる工事

国土交通省のマンション改修マニュアル(令和8年3月改訂)で、主要部位にバルコニーが挙げられている工事のうち、主なものを4つ紹介します。

・躯体補修工事… ベランダのコンクリート壁・手すり壁・上げ裏(天井面)のひび割れ、欠損、鉄筋の錆を直す
・外壁塗装工事… 同じ壁・手すり壁・上げ裏の塗り替え。ふつうは躯体補修と同時に行う
・床防水工事… ベランダ・開放廊下・階段の床の防水。12~15年周期で、足場が要る場合は外壁修繕と同時期に行う。最も一般的な工法はウレタン塗膜防水
・鉄部塗装工事… 手すり、物干金物、避難ハッチ(垂直避難口)、隣戸との隔て板などの塗り替え。周期は5~7年程度で、海辺では早める

大規模修繕工事では足場がある期間にまとめて行われ、いつベランダに人が入るかは工事掲示板やお知らせチラシで案内されます。

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居住者の皆様にお願いすること

お願いは大きく3つです。いつ、どこまでかは工事掲示板とお知らせチラシで案内します。マニュアルも、洗濯物干しの可否やバルコニーの使用制限は掲示板やチラシで居住者に案内する、としています。

なお、窓の開閉制限やバルコニーの使用制限は、マニュアルでは設計の段階で検討しておく事項です。着工前の説明会で「ベランダはいつ、どのくらい使えなくなるのか」を聞いておくと、後の案内が読みやすくなります。

①ベランダの物を片付ける
床の防水と壁の塗装はベランダ全体が対象です。植木鉢、物置、すのこ、タイヤなどは、案内に従っていったん室内へ移してください。管理組合が計画修繕として行う工事なので、住んでいる人ごとに「うちは端だけやって」というわけにはいきません。
②洗濯物を干す日を守る
弊社では、足場の組立てや壁つなぎの作業中は騒音・振動・埃が出るため、窓の開閉と、埃や資材落下の恐れを考えてベランダでの洗濯物干しをご遠慮いただいています。そのほかの日に干せるかどうかは、掲示板やチラシの案内で確認してください。工程表を見ながら洗濯の予定を組むのがコツです。
③エアコンの室外機は案内を待って対応する
室外機の扱いは工事の内容によって変わります。マニュアルは、室外機や冷媒配管が専有部分の場合、大規模修繕時の外壁塗装や床防水の支障にならないよう、管理組合がルールを決めて居住者に周知する必要があるとしています。理事会は、施工会社と室外機の扱いを決めてから案内を出しておくと安心です。標準管理規約には、区分所有者がバルコニーの決められた場所以外に室外機などを固定する工事をするとき、避難の支障・防水層や排水への悪影響・躯体へのボルト打ち込みが無いかを確認する、という承認の例が載っています。工事後に室外機を置き直すときも、この3点は気にしておきたいところです。せっかく新しくなった防水を傷めないためです。

そしてもう1つ。工事中は作業員がベランダに立ちますので、カーテンやブラインドを閉めておくことをおすすめします。弊社サイトの「トラブルと対策」でも、直前の通知なくベランダの工事が始まりプライバシーの侵害になる、というトラブルの例を挙げています。防ぐ方法は、工事前・工事中に工期と目的をきちんと伝えること。案内が届いたら、いつ・どの作業でベランダに人が入るのかを確認しておいてください。

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ベランダの傷は誰が直す?という余談

標準管理規約のコメントに、少し面白い切り分けがあります。ベランダの破損が第三者の犯罪行為などによることが明らかな場合は、通常の使用に伴わないので管理組合が直す。一方、同居人や賃借人が壊した場合は「通常の使用に伴う」ものとして、専用使用権を持つ人が直す。同じ壊れ方でも、誰がやったかで負担が変わるんですね。

日々の傷はそれぞれのお宅で、年月の劣化はみんなで。ベランダはそういう場所です。足場が外れる前には、弊社では居住者の皆様にアンケートをお配りして、気になる箇所を手直ししています。片付けにご協力いただいたぶん、きれいになったベランダで確かめてみてください(^^)

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