36.6%。
修繕積立金が足りないとき、管理組合として借入をすることはできます。冒頭の数字は、国土交通省の令和5年度マンション総合調査で、長期修繕計画に比べて修繕積立金が不足しているマンションの割合です。そのうち、不足が20%を超えるマンションも11.7%ありました。
見積を取ってみたら積立金が足りない。この記事では、そんなときに使える独立行政法人 住宅金融支援機構の管理組合向け融資「マンションすまい・る融資」を例に、借りられる条件と、毎月の返済の目安、申込みまでの5つの手順を順番にまとめました。
管理組合は借入ができる
国のマンション標準管理規約(単棟型)には、管理組合は計画修繕などの業務に必要な範囲内で借入れができる(第63条)、借入れの返済に修繕積立金を充てることができる(第28条第3項)と書かれています。借入れは総会で決める事項です(第48条)。
標準管理規約は国が示すひな形なので、実際のルールはお住まいのマンションの管理規約で確かめてください。
国の修繕積立金に関するガイドラインも、修繕のときに一時金を集めたり金融機関から借りたりすることを前提にした積立方式があると紹介しています。ただし、将来の負担増を前提にした方式は、増額の合意がまとまらず積立金が不足する事例もあるとして、均等に積み立てる方式が望ましいとしています。借入は「足りない分をつなぐ手段」と考えておくのがよさそうです。
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住宅金融支援機構の融資で借りられる条件
「マンションすまい・る融資」は、住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資の愛称です。分譲マンションの共用部分の工事に使える、管理組合向けのリフォームローンで、全期間固定金利。保証機関(マンション管理センターなど)の保証を使えば担保はいりません(保証料は管理組合の負担)。
機構のご利用条件のうち、管理組合が先に確かめておきたいのは次の4つです。
・管理費と修繕積立金が分けて経理されている
・修繕積立金を1年以上定期的に積み立てていて、滞納割合が原則10%以内
・毎月の返済額が、毎月集める修繕積立金の80%以内に収まる(滞納割合が10%超20%以内なら、条件付きで60%以内)
・総会で、工事の実施、借入の金額・返済期間・予定利率、返済に修繕積立金を充てること、保証委託などを決議している
借りられる額は融資の対象になる工事費まで(10万円単位、最低100万円)。工事前の劣化診断や調査設計、長期修繕計画の作成費用も対象です。一方、専有部分の工事費は原則として対象外です。
返済期間は原則1年以上10年以内。耐震改修や給排水管の取替え、サッシの取替えなど決められた工事を含むと20年以内まで延ばせます。
毎月いくら返す?金利と返済の目安
令和8年9月の融資金利は、返済期間10年以内で年1.51%。「マンションすまい・る債」の積立てか、マンション管理計画の認定のどちらかがあれば年1.31%、両方あれば年1.11%になります。金利は毎月見直され、申込み時の金利が最後まで固定されます。最新の金利は機構の融資金利のページで確かめてください。
同じ資料に、100万円あたりの毎月の返済額のめやすが載っています。年1.51%・10年・元利均等返済で8,983円。1,000万円なら月およそ9万円です。
この9万円が、毎月集めている修繕積立金の80%以内に収まるか。ここが借りられるかどうかの目安になります。収まらないときは、借入額を減らしたり、一時金の徴収や積立金の増額と組み合わせたりする方法が考えられます。一時金や増額をするときは、その額も総会で決議しておくことが条件です。
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借入までの5つの手順
住宅金融支援機構の商品ページでは、手続きは次の5つの順番で案内されています。
手順①:事前相談
総会の前に、機構の本支店へ書類を送って相談します。回答は書類が届いてから1~2週間ほどで電話で来ます。
先に相談する理由は、条件を満たしていないと管理規約の改正や借入決議のやり直しが必要になることがあるからです。総会を2回開くことにならないよう、ここは早めに(^^;)
手順②:総会での借入決議
工事と借入を総会で決議。決議する総会では、機構の商品概要説明書やパンフレットを議案書に添付して配り、説明したことを議事録に残すことも条件になっています。議案書と議事録のひな形は機構のページにあります。
手順③:借入申込み
必要書類をそろえて申し込むと、書類がそろってから約2~3週間(目安)で審査が終わり、「融資承認通知書」が届きます。
注意したいのは、工事が終わってからでは申し込めないこと。原則は、融資承認通知書を受け取ってから着工です。やむを得ず着工してしまった場合でも、工事が終わる前なら受け付けてもらえることがあるので、機構の本支店に相談してください。
手順④:工事完了の届出
工事中は、工事箇所の写真(工事中か工事後)を撮っておきます。完了のときに提出が必要だからです。耐震改修・浸水対策・省エネルギー対策の工事は、工事前の写真も要ります。電子契約を使う場合は、完了届の前に代表者の本人確認も済ませておきます。工事が終わったら、速やかに工事完了の届出をします。
手順⑤:融資の契約とお金の受取り
契約(金銭消費貸借契約)を結び、融資金を受け取ります。電子契約の場合、受取りは工事完了届の提出から約1か月半後。保証料は融資金から差し引かれます。
つまり、借りたお金が入るのは工事が終わったあとです。工事代金をいつ・いくら支払うかは、施工会社との契約の段階で融資のスケジュールと合わせて決めておくと安心です。
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最初の一歩は規約と積立金の月額を確かめること
借入ができるかどうかは、管理組合の足元の数字でおおよそ見えてきます。
まずは、管理規約に借入れと修繕積立金での返済の定めがあるか、そして毎月いくら修繕積立金を集めているかを確かめてみてください。その80%が、月々返せる額の上限のめやすです。
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