こんにちは。今日は答えから書きます。
大規模修繕工事をすると、固定資産税は減ります。ただし条件付きです。国の「マンション長寿命化促進税制」という仕組みで、福岡市のマンションなら、工事が終わった翌年度の建物分の固定資産税が、1戸あたり100㎡分まで半額。
この記事では、対象になるマンションの4つの条件、減る金額の考え方、2027年3月末という期限、そして管理組合と区分所有者がそれぞれ何をするかを、国土交通省と福岡市の資料をもとに説明します。
本当に減る?どのくらい減る?
減ります。国土交通省のリーフレットによると、減額の割合は各区分所有者が翌年度に支払う固定資産税(建物部分のみ)の1/6~1/2の範囲で、お住まいの自治体の条例で決まります。
福岡市は、その範囲の上限です。福岡市の案内ページでは、1戸あたりの住宅部分の床面積が100㎡以下なら固定資産税額の2分の1を減額、100㎡を超える場合は100㎡相当分の2分の1を減額(超える部分は対象外)としています。この床面積は、専有面積に共用廊下やエントランスなどの共用部分を案分して加えた面積です。
減るのは工事が完了した年の翌年度分の1年度間だけで、建物分のみ。土地の固定資産税と都市計画税は減りません。また、国土交通省のQ&Aによると、過去にこの税制の適用を受けたマンションは対象外、つまり1回限りです。
うちのマンションは対象?4つの条件
国土交通省の要件と手続きの資料の要件を、今回の工事の条件も含めて4つにまとめ直すと次のようになります。分譲マンション(区分所有)が対象です。
①築20年以上で総戸数10戸以上
戸数は店舗などの施設を含めた総戸数で数えます。築20年は、固定資産税の賦課期日(1月1日)と申告の時点の両方で満たしている必要があります。各区分所有者の専有部分の床面積の2分の1以上が居住用であることも必要で、店舗やオフィスなど居住用でない専有部分は対象外です。分譲マンションの住戸を人に貸している場合は対象になります。
②過去に長寿命化工事を行っている
長寿命化工事とは、外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の3つです。過去の工事は3つとも実施している必要がありますが、一体で行っていなくても、時期が違っていても構いません。つまり、外壁・床防水・屋根防水をすでに一度ずつ経験したマンションが対象で、今回が2回目以降の長寿命化工事になります。
③3つの工事を一体で行い2027年3月31日までに完了する
詳しくは次の見出しで説明します。
④管理計画の認定または助言・指導を受けている
認定ルートで注意したいのは引上げの時期です。令和3年9月1日以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準未満から基準以上に引き上げたマンションが対象で、令和3年9月1日以前から基準を満たしていたマンションは対象外。この「修繕積立金の額」は、長期修繕計画の計画期間全体での平均額のことです。認定は工事完了後に取ってもよいのですが、翌年1月1日の時点と申告の時点で取得している必要があり、審査に時間がかかります。
後者の助言・指導とは、福岡市のページによると、管理組合が十分に機能していないマンションに対して市がマンション管理適正化法に基づき行うものです。ふつうに運営されている管理組合は、前者の認定を目指すことになります。こちらも、助言・指導を受ける前から基準を満たしていた場合は対象外です。
▼ 関連記事
大規模修繕工事の周期は何年?「12年」の根拠と国の最新データ
どんな工事が対象?いつまで?
対象は、外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の3つを一体で行う工事です。国土交通省のQ&Aでは、一つの工事請負契約であることや、一つの総会決議で工事の実施が決議されていることなど、3つの工事が一体として扱われることが必要としています。給排水管工事や鉄部塗装を同時に行っても差し支えありません。
「外壁は全面だけれど、屋上の防水は傷んだ部分だけ」という場合も、調査・診断に基づいて必要十分な工事として行われたものであれば、部分工事でも対象になります。3つの工事それぞれが全面工事でなくて構いません。建築基準法の「大規模の修繕」に該当する必要もありません。
期限は、令和5年4月1日から令和9年(2027年)3月31日までに工事が完了していることです。着工日は問われないので、今年着工して来年3月までに終わる工事も対象です。ただし工法や部材は、日本建築学会のJASS・JAMSや公共建築改修工事標準仕様書を参考にしたものであることが求められます。
ここで一つ、時間の話をしておきます。大規模修繕工事は準備から竣工まで3~5年かかるのがふつう(下の関連記事で説明しています)で、来年3月に間に合うのは、すでに計画が進んでいるマンションです。「減税があるから急いで工事を」ではなく、「予定どおりの工事がたまたま期限内なら申告を忘れない」という順番で考えてください。
▼ 関連記事
大規模修繕工事の防水工事|屋上と床で違う工法と全面改修の要否
大規模修繕工事の流れを7ステップで解説|準備から竣工まで3~5年
誰が何をする?
申告は管理組合単位ではなく、区分所有者ごとに行います。ただし、添付する証明書は管理組合でまとめて取得し、写しを各区分所有者に配ることができます。福岡市のページによると、令和7年4月1日からは、管理組合の管理者等から必要書類の提出があれば、区分所有者の申告書が無くても減額を受けられるようになりました。
役割分担はこうなります。
・管理組合(理事長など)… 管理計画の認定を取る。「大規模の修繕等証明書」「過去工事証明書」「修繕積立金引上証明書」の3つを取得する(助言・指導のマンションは引上証明書の代わりに「助言・指導内容実施等証明書」)。総戸数が分かる設計図と、過去の長寿命化工事の施工計画書・完了報告書などを用意する
・区分所有者… 工事完了後3か月以内に、福岡市なら家屋のある区の区役所課税課へ減額申告書と証明書の写しを提出する
・施工会社… 今回の工事の施工計画書・工事完了報告書・仕様書・工事前後の写真など、工事が行われたことを確認できる書類を用意する
証明書の発行者は決まっています。大規模の修繕等証明書は登録建築士事務所の建築士または住宅瑕疵担保責任保険法人、過去工事証明書と修繕積立金引上証明書はマンション管理士または登録建築士事務所の建築士です。過去の工事については、調査・診断の結果や修繕周期から見て明らかに不適切なものでないことを、建築士かマンション管理士が確認します。
3か月は短いです。工事の完了検査が終わる前に、誰に証明書を頼むかを理事会で決めておくと、あわてずに済むはず。
福岡市で管理計画の認定を取るには
福岡市は令和4年3月にマンション管理適正化推進計画を策定し、福岡市マンション管理計画認定制度を運用しています。基準は国の基準に加えて、防災計画の作成や防災訓練などの防災の取組みが市独自の基準になっています。
申請の手数料は、市に直接申請すると23,500円、マンション管理センターの事前確認を受けてから申請すると3,500円(別途センターの手数料が要ります。いずれも長期修繕計画が1つの場合)。
さらに福岡市には、初めて認定を申請する管理組合向けのマンション管理計画認定申請促進事業補助金があります。認定申請に向けた意向調査や総会の会場費、マンション管理士等への相談費などの2分の1、上限55,000円を補助するもので、受付は令和8年12月28日まで(予算の範囲で先着順)です。着手前に交付申請と交付決定が要るのでご注意ください。窓口はどちらも住宅都市みどり局住宅計画課(092-711-4598)です。
余談ですが、認定を取ると税制以外にもメリットがあります。福岡市のページには、住宅金融支援機構の融資金利の引下げなどの優遇措置の対象になると書かれています。修繕の資金を借りる予定があるマンションには、こちらも見逃せない話です。
まずは修繕積立金をいつ上げたかを確かめてください
条件はいろいろ書きましたが、福岡市のマンションで最初に確かめるのは1つだけです。令和3年9月1日以降に、修繕積立金を管理計画の認定基準未満から基準以上に引き上げたか(または引き上げる予定があるか)。ここが「はい」なら、認定と減税の両方が視界に入ってきます。長期修繕計画と、積立金の改定を決めた総会の議事録を引っ張り出してみてください。
判断に迷うときは、国土交通省のページに載っている日本マンション管理士会連合会の相談ダイヤル(03-5801-0858、月~土 10:00~17:00、祝日・年末年始を除く)も使えます(^^)
▼ 外壁・防水を含む大規模修繕工事のご相談・お見積りは無料です
福岡で大規模修繕工事をご検討中の管理組合様・オーナー様は、株式会社アストまでお気軽にご相談ください。
お問い合わせフォームはコチラ
お電話でのご相談: 092-812-6411(平日 8:00~17:00)
▼ 関連記事
大規模修繕工事とは
大規模修繕工事の流れ
大規模修繕工事の費用相場|1戸あたりの目安と見積の比べ方
責任施工方式とは?設計監理方式との違いと管理組合の選び方